Research

高圧固体イオニクスで
準安定「量子マテリアル」を創り出す

 我々の身の回りには、機能性材料(イオン伝導体・磁性体・誘電体・超伝導体・熱電材料など)があふれています。 この機能性材料の開発には、人類がいまだ創り出すことができていない物質を創り出す「新物質の創製」やまだ誰も気づいていない機能を切り拓く「新機能の開拓」が求められます。 当研究室では、これまで着目されてきた安定物質に限らず、準安定物質に着目することで「新物質の創製」と「新機能の開拓」を実現し、新たな量子マテリアルの創製を目指します。

 では、どのように準安定物質を創り出すことができるのでしょうか?それは、圧力や電場・磁場といった外場を印加した状態で物質を合成することです。 当研究室では、圧力と電場を同時に印加しながら物質合成を行えるHP-ADC技術という独自技術を有しています。 このHP-ADC技術という独自技術により、"圧力をキーワードとした「高圧科学」" と "電場によるイオン制御を目指す「固体イオニクス」" を融合させた「高圧固体イオニクス」という新学術領域を創出し、 「高圧固体イオニクス」に基づく準安定量子マテリアルを創製していきます。

高圧固体イオニクス

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 高圧という特殊な環境下でイオンのダイナミクスを解明・活用する新学術領域です。 この分野は「高圧科学」と「固体イオニクス」における学際領域であり、 これまで独立していた2つの分野を融合することで大きな学術領域として発展することが期待されます。

準安定物質

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 「同素体(元素)」や「結晶多形(化合物)」は準安定物質であり、組成は一緒でも結晶構造が異なるがゆえに機能も異なります。 当研究室では、これまで着目されてきた安定物質にとどまらず、準安定物質に着目た量子マテリアル開発を推進します。

量子マテリアル探索

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 量子マテリアルとは電子やスピンの量子状態を制御することで、量子機能が発現する物質群です。 当研究室では、化合物中のイオン量を変化させることで、量子状態を制御することを目指していきます。

 配属を希望する学生のみなさんへ 

〇 はじめに

 皆さんは将来どのようなキャリアを歩みたいですか?研究室には、将来企業に就職する方や大学で研究を続ける方など、多様なキャリアを志す方がいます。 当研究室ではどのようなキャリアでも活躍できるような能力を身に付けられる環境を提供したいと考えており、 「特定の分野を深く知っている人材」ではなく、「分野を深めることができる人材」を輩出する研究室にしたいと考えています。

 皆さんが研究室生活を終えた後、企業もしくは大学において、新しいプロジェクトを進めていく際、 どのようなプロジェクトであってもはじめはその面白さを感じることは難しいでしょう。 しかし、やり続けていくとその面白さに気づくときがあります。それは、自分自身のアイデアがそのプロジェクトに役に立てると実感するときではないでしょうか。 プロジェクトを進めていく際、前例を参考にすることも大切ですが、それだけでは新しい進展は生まれません。 分野の深め方を習得している人材は、プロジェクトを自らの力で切り拓いていくことができます。 自分の力で新しい分野を切り拓けると思える場合、主体的になるから楽しさが生まれます。

 当研究室では、分野の深め方を習得してもらう過程で、① 「物質・材料研究における研究スキル」、② 「研究成果の発信スキル」、 そして、③ 「チャレンジ精神(挑戦的姿勢)」を身に付けてもらいたいと考えています。

〇 研究室生活で身に付けてほしいスキル① : 物質・材料研究における研究スキル

 物質・材料研究を推進する当研究室では、物質合成技術・相評価技術・機能評価技術・計算科学的技術を総合的に身に付けることができます。 特に、当研究室は世界的に見ても類を見ない物質合成技術を有しており、オリジナルの技術を習得することができるとともに、 皆さんの独創的なアイデアと組み合わせることができれば、皆さんオリジナルの研究になります。 「物質・材料研究」を題材として、物質・材料研究に関する専門的知識を習得してもらうとともに、それらの知識を複合的に活用することで、 「物質・材料研究」というひとつの分野を深める能力を養います。

 当研究室での研究テーマを題材として、プロジェクトの遂行にどのような技術が必要で、それをどのように活用すればよいかを身に付けてもらい、 最終的にはそのスキルを最大限に活用してオリジナルの研究課題を立ち上げるところまでできたら素晴らしいと考えています。

〇 研究室生活で身に付けてほしいスキル② : 研究成果の発信スキル

 皆さんは自身の研究成果を他の研究者にわかりやすく伝えることの重要性は何だと考えていますか? 研究成果を理解してもらうことができれば、他の研究者から高い評価を得られるかもしれません。 もちろん、他の研究者から高い評価を得ることは一つのメリットでることは否定しません。しかし、他の研究者からの高い評価よりも重要なことがあります。 それは、他の研究者から質の高い質問やアドバイスを頂く機会を増やすことができる点です。 分かりにくい発表であった場合、説明したことの繰り返し説明を求められるような質問がほとんどとなってしまいます。 一方で、わかりやすい発表ができると、質問の内容がより本質的なものになってきます。 他の研究者からの質問やアドバイスの中には、自分たちが気が付けなかった視点を提供してくれるものがあり、研究の発展を手助けしてくれます。 このような新しい視点を獲得するためにも、どのような工夫をすれば自身の研究成果を分かりやすく発信してくスキルが必要となります。

 当研究室では、国内のみならず国外での発表も推奨します。新たな視点を得る機会を格段に増やすことができるという点で、 積極的に国外での発表に挑戦してみてください。

〇 研究室生活で身に付けてほしいスキル③ : チャレンジ精神(挑戦的姿勢)

 「はじめに」では少しだけ主体性について触れましたが、「主体性」を獲得することは、「社会で活躍する」という観点だけではなく、「楽しく生活する」という観点からも大切であると考えています。 大学院(修士課程・博士課程)では、特定のことを深く知ることだけではなく、分野の深め方を習得できるような環境を作りたいと考えています。 自分の力で新しい分野を切り拓けることができるようになれば、主体的になり、楽しさが生まれてきます。
「主体性」の獲得のためには継続してチャレンジしていくことが大切です。一方で、チャレンジしていく過程では、失敗や僅かな疑問点の解決が必要となります。 そこで、当研究室では、失敗や初歩的質問も許容することで、 失敗から学ぶ力、そして、わからないことをわからないと言える力が身につく環境を作りたいと考えています。 失敗を恐れず、常に新しいアイデアとともに挑戦していく姿勢は、分野を深めていくために必要不可欠なものではないでしょうか。 特に、研究を進めていく場合、仮説と異なる実験結果が出てくることがあります。このとき、皆さんはもしかすると残念に思うかもしれません。 このような状況に直面した時、「面白い!」と思えるようになってもらいたいと考えています。

〇 研究室の運営方針

  • 事前知識 :不問です!研究を進めながら基礎知識を増やしていきましょう。
  • コアタイム:ありません。皆さんの都合に合わせて研究を進めてください。
  • 進捗発表会:毎週月曜の午前中に実施します。
  • 質問対応 :いつでもokです。メールでも対面でもオンラインでも実施します。
  • テーマ決め:4月の練習実験後に、各人の興味に合わせて決定していきましょう。
  • 学会参加 :積極的に参加して、研究の質を高めていってください。
  • 論文執筆 :データが十分に蓄積できたら、新規性を意識してどんどん論文化していきましょう。
  • 雑誌会など:希望の方がいればやりましょう。皆さんと相談させてください。

〇 おわりに

 研究室に関する質問がある方や研究室見学を希望する方は遠慮なく岩﨑までご連絡ください。 研究室というもののイメージが曖昧な皆さんにとって、色々な研究室を見学することにより、研究室生活のイメージが具体的なものになっていきます。 配属を希望していなくても、ぜひ一度見学しに来てください。